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環境試験規格

環境試験規格一覧

【1】基本的環境試験規格 IEC60068-2、IEC60068-3、対応JIS

ISO及びIECの各製品委員会(特定の製品分野毎の規格を担当する専門委員会)がその製品規格の中に環境試験仕様を含めるか又はその製品の環境試験規格を作る場合は、IEC/TC104が作成した動的環境試験規格及び対応JISの題名及び簡単なコメントを【表1】に示す。

これらの規格では、試験の厳しさ即ち環境ストレスの強度及び試験時間又は回数は、製品規格の作成者が選択できるようになっているので、一般の読者がこの規格を見て、すぐに試験仕様に行き着くというようにはなっていない。固有の製品規格の中に簡単な記述で試験仕様が規定されていて、具体的な許容差などが省略されている場合が多い。その場合、“詳細はIEC60068-2-64による”などと記載されている。試験思想、試験の技術的背景、試験テクニックなどを知るにはIEC 60068規格群は不可欠である。

【2】製品が遭遇する環境条件に関する規格 IEC60721-3、対応JIS

IEC/TC104では、環境条件に関する規格も作成している。IEC 60721-1は環境パラメータとその厳しさの分類、IEC 60721-2は自然環境の条件、IEC 60721-3は環境パラメータとその厳しさのグループ別分類となっている。“環境パラメータとその厳しさのグループ別分類” は “製品が遭遇する環境条件” と言い換えたほうが分かり易いので、この項のタイトルはこちらを使った。【表2】に製品が遭遇する環境条件に関する規格IEC 60721-3及び対応JISの題名及び簡単なコメントを示す。

【3】製品が遭遇する環境条件に関する規格 IEC60721-3と環境試験規格 IEC 60068との相互関係の指針
IEC/TR 60721-4

IEC/TC104では、環境条件規格と環境試験規格の矛盾点を調査する目的で、IEC 60721-3とIEC 60068との相互関係を調査してTechnical reportとして発行した。このTRは、輸送中、屋内固定、又は車載など、製品の各段階での環境条件及びそれに対応する試験仕様を決定するための参考にすることができる。

【表3】に製品が寿命中の各段階で遭遇する環境条件に関する規格IEC 60721-3と環境試験規格 IEC 60068との相互関係の指針 IEC/TR 60721-4の特徴を示す。

※IEC/TR 60721シリーズは、規格ではなくテクニカルレポートの為、JISから発行されることはない。

【4】輸送振動試験規格

ほとんどの製品は輸送される。振動が厳しくない場所に設置される製品のように輸送段階の振動が使用段階の振動より厳しい場合は、一般に振動試験は輸送環境を想定した輸送振動試験だけが実施される。
輸送試験では、包装を介して振動を伝達させるが、設置する場合は床又は構造物の振動が直接伝わるので、包装を介して製品に伝わる振動をよく調べてどちらが厳しいかを判断する必要がある。代表的な輸送振動試験規格の特徴を【表4】に示す。

輸送環境は、道路又は線路の凹凸が振動として、タイヤ又は車輪から荷台へ伝わるので、期本的にランダム振動である。したがって輸送振動試験には、ランダム振動を推奨する。

包装貨物の拘束に関する注意!

ほとんどの包装貨物は荷台に拘束しないで輸送されるが、振動試験では包装貨物をベルトなどで振動台に固定して加振することが多い、次のことを考慮して、拘束しないで輸送する貨物は拘束しないで加振するとよい。

ベルトによる拘束によって、試験ではダンボールが変形し高周波の振動が伝達する、また包装貨物は実際には荷台上で飛び跳ねることがあるのに、試験では飛び跳ねは起こらない。

拘束しないで加振する場合は、振動台にフェンスを設けて、包装貨物が振動台から落下しないようにしなければならない。段積みの状況も実際と同じにして試験するとさらによい。

【5】自動車部品振動試験規格 ISO 16750、JIS D 1601、ISO/DIS19453

現在ほとんどの自動車部品には、各自動車メーカの社内規格又は代表的な自動車部品メーカの試験規格が採用されている。世界の市場から部品を調達するためには、試験規格の標準化が必要であるとの理由から、ISO 16750-3:2003 Road vehicles-Environmental conditions and testing for electrical and electronic equipmentが発行された。この試験内容を見るとドイツの代表的部品メーカとビッグ3の一つの社内規格が元になっているように思われる。この規格では車体に取り付ける部品の試験はランダム振動になっている。エンジンに取り付ける部品の試験がサイン・オン・ランダムになっているのは先進的であったが、1oct/minの掃引速度では正弦波の制御誤差が大きくなることがあり、制御器はその誤差を知ることができないので、この点では評価できない。IMVでは、お客様の了解を得て1oct/mimは無視して試験時間22hで数往復するようにしてこの誤差を少なくしてきた。

その後この問題は、日本の提案によって、2005年に発行されたIEC 60068-2-80: Test Fi: Vibration mixed mode(【表1】参照)で考慮され、2007年発行ISO 16750-3の第2版では、掃引速度が0.5oct/min以下に修正された。【表5-1】にISO 16750の特徴を示す。2017年7月時点での最新は2012年発行である。

2006年3月に自動車技術会 http://www.jsae.or.jp/ から、一連のISO 16750を翻訳した規格が発行された。

JASO D 014-1の解説には、次のような表明があり、時期は明らかではないがISO 16750は、JIS規格になり、JIS D 1601は廃止されることが明らかになった。JIS化の予定が決まればhttp://www.jisc.go.jp/ に公表される。
2017年7月時点では廃止の予定はない。

ISO 16750とJASO D 014の対応表

ISO 16750-1: 2006 General JASO D 014-1: 2014 一般
ISO 16750-2: 2012 Electrical loads JASO D 014-2: 2014 電気負荷
ISO 16750-3: 2012 Mechanical loads JASO D 014-3: 2014 機械負荷
ISO 16750-4: 2010 Climatic loads JASO D 014-4: 2014 気候負荷
ISO 15750-5: 2010 Chemical loads JASO D 014-5: 2014 化学負荷

注)( )内は現行年号である。参照時には注意が必要。

ISOから電気・ハイブリット自動車に関連する電装装置の規格ISO/DIS 19453-1~5が発行されている。(2017年7月時点)

振動試験は ISO/DIS 19453-3: Road vehicles — Environmental conditions and testing for electrical and electronic equipment for drive system of electric propulsion vehicles — Part 3: Mechanical loadsとなる。

試験条件は、ISO16750-3と同様に供試品取り付け部位により決定され、下記条件が規定されている。

Test 1 — Passenger car, powertrain (combustion engine, gearbox)
Test II — Passenger car, sprung masses (vehicle body)
Test III — Electric vehicle, (directly equipped with) motor
Shock I – Test for devices on rigid points on the body and on the frame
Shock II – Test for devices in or on the gearbox
Free fall

ISO/DIS 19453-3 試験条件概要

試験名 取り付け部位 概要
TEST Ⅰ Passenger car, powertrain
(combustion engine, gearbox)
10 - 2000Hz サイン・オン・ランダム 33h/各軸
ランダムレベル13.3 m/s2 rms
サイン最大レベル:
X軸 25 m/s2
Y軸 50 m/s2
Z軸 30 m/s2
及び悪路想定10~2000Hzランダム 10h/各軸
3軸共通 ランダムレベル21.4 m/s2 rms
TEST Ⅱ Passenger car, sprung masses
(vehicle body)
10 - 1000Hz ランダム
レベル13.3 m/s2 rms  20h/各軸
TEST Ⅲ Electric vehicle,
(directly equipped with) motor
10 - 1000Hz ランダム 20h/各軸
X軸 レベル35.1 m/s2 rms
Y軸 レベル20.5 m/s2 rms
Z軸 レベル36.2 m/s2 rms
Shock Ⅰ Test for devices on rigid points on the body
and on the frame
ピーク加速度 500 m/s2
作用時間 6ms
各方向 10回
Shock Ⅱ Test for devices in or on the gearbox 顧客との間で条件を決定し実施すること
Free fall This test checks the DUT for malfunctions
and/or breakage caused by free fall.
取り扱い中(例えば製造ライン)の床への落下を想定。
落下高さ
A: 250mm
B: 100mm
C: 25mm
Z: 合意に基づく

最後に、各社の車体搭載機器の正弦波規格の中には、ほとんどの場合出典は明記されていないが、JIS D 1601又はJASO D001を参考にして定められたものが多い。その場合、社内規格を見直されることを推奨します、弊社テストラボへご一報ください、試験規格作成支援業務も請け負っています。

【6】鉄道車両に取り付ける機器の試験規格 IEC 61373、JIS E 4031

第2次大戦後の我国の振動技術の発展は鉄道関係の技術開発によるところが多い。1964年に最初の鉄道関係の振動試験のJISが作成された。現在のJIS E 4031:JA,JB鉄道車両部品―振動試験方法はこれが何度か改正されたものであり、試験思想に係わるような改正はない。この規格の試験は正弦波試験である。また、加速度振幅を複振幅(peak to peak)で表している珍しい規格である。試験条件は多くの実測データから決められているのは当然であるが、試験時間を短くするために、試験加速度を上げているのもまた当然のことであるが、用いた加速の指数を明記しているのは貴重である。

実環境の加速度に対する試験加速度の比をα、実環境で振動を受ける時間に対する試験時間の比をλ、加速の指数をmとするとマイナー則から次式が成立する。

JIS E 4031ではm=6.64を用いている。この場合、加速度比2倍なら時間比は1/100、加速度比 √2 倍なら時間比は1/10になる。

JIS E 4031:JA(正弦波振動試験)の特徴を【表6-1】に示す。
JIS E 4031:JB(衝撃試験)の特徴を【表6-2】に示す。

1999年にIEC 61373 Railway applications―Rolling stock equipment―Shock and vibration testsが発行された。これは、鉄道車両に取り付ける機器、部品の振動・衝撃試験規格で、対象機器はJIS E 4031:JA,JBと同じであるが、ランダム振動になっている。レールの凹凸が車輪、輪軸、サスペンション、ボギー、サスペンション、車体へと振動として伝達するから、車両の振動は、基本的にはランダム振動である。 2005年度にJIS E 4031にIEC 61373を取り込むことを目的としたJIS改正原案が作成された。現在、ヨーロッパ向けに輸出をする場合は、国内でもIEC 61373が適用されている。この規格でも規格の開発に用いた加速の指数が明記され、m=4を用いている。この場合、加速度比2倍なら時間比は1/16になる。この規格の特徴を【表6-3】に示す。

その他

1)IEC 61373の改正版が、2010年に発行されている。

  • a)2010年度版では、”受渡当事者間で事前の協定があれば、多軸試験を適用しても良い”との記述が追加され、三軸同時加振が可能となっている。これにより試験時間が短縮されて試験費用の削減が可能となることがある。
  • b)二つの折れ点を持つ疲労損傷特性を採用して耐久試験レベルを計算した値に変更する。具体的には繰り返し数 では加速指数 では では となる曲線を用いる。この結果耐久試験レベル(RMS値)は車体搭載機器及び台車搭載で0.72倍、輪軸搭載機器で0.48倍になる。
  • c)運用予定の路線での実測振動データがある場合は、受け渡し当事者間で合意すれば、実測データから試験条件を決めてもよいとする。
    弊社は大阪テストラボに鉄道車両用のインバータ・コンバータ等の大型機器をIEC 61373:2010に従って試験ができる試験機を設備し、ご好評頂いております。
2)JIS E 4031:2008の改正版はIEC61373:2010を基として2013年5月に発行された。
2008年度版では、1994年度版で定められていた正弦波振動試験及びJIS E 4032の衝撃試験が、附属書JA,JBに期限を2017年3月31日までの期限付きで、国際規格によらない振動試験方法として規定していたが、今回の改正では付属書JA,JBに正弦波試験 衝撃試験が規定として残されることとなった。これは、鉄道車両でも輪軸,機関の回転などに起因する周期的な正弦波状の振動があるので,それらを想定する場合は,正弦波による振動試験が必要である。”との指摘があったためである。
【7】通信機器の環境試験規格 ETSI EN 300 019-2

ヨーロッパ規格(EN)の通信規格分野を担当しているETSI(European Telecommunications Standards Institute 欧州通信規格協会 http://www.etsi.org/ )が作成した規格の中に通信機器の環境試験規格があり、ヨーロッパに輸出するIT機器の環境試験によく使われている。が作成した規格の中に、通信機器の環境試験規格があり、ヨーロッパに輸出するIT機器の環境試験によく使われている。この規格は、IEC60721-3、IEC60068-2を基にして、保管、輸送、屋内設置、携帯使用等の置かれる場所ごとに分類されている。【表7】にこの規格の特徴を示す。

【8】規格閲覧

JIS規格は http://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html により閲覧のみ可能。
ETSI規格は http://pda.etsi.org/pda/queryform.asp から無償ダウンロードできる。(要会員登録)
防衛省規格(NDS)は http://www.mod.go.jp/atla/nds_bak.html から無償ダウンロードできる。
MIL規格は http://quicksearch.dla.mil/ から無償ダウンロードできる。

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